アルスコーポレーション株式会社

Global Site
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社

プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

スモモの平面仕立て2
   

スモモの平面仕立て2



家庭での果樹栽培で一番問題となるのは、 『収穫を確保しながら、庭の景色づくりといかに調和させるか』 ということでしょう。
果樹園での樹形づくりとは、 かなり異なるものになるのは致し方のないことです。 今回も、かなり手抜き発想の乱暴な樹形づくりとなりそうです。

本来、果樹は、主枝を多く作って“盃状形”などの立体的な樹形にした方が、
収量は多くなるのでしょう。 しかしわが家では、多収は諦め、
場所をあまりとらず、簡単に整姿できることを主眼にし、 平面的な樹形とすることにしました。

樹形を上から眺めたとき、 果樹園的な樹形は面構成(広がりのある構成)となるのでしょうが、 今回の樹形は線構成と言えそうです。

ところで、このスモモの樹形づくりの第一回の整姿はおととしの秋のことでした。2011年10月 「スモモの平面仕立て1」
一面に繁っていた枝を三つのグループにまとめて、支柱を用いて平面的に整えました。 結果として、三枚の板を立てたような姿になりました。


こうすることによって、 放任しておけば中心部の枝葉には光・風が通らず、
枯死してしまう危険を防ぐことができました。 枝をまとめる際に注意したのは、日光の当たり具合です。 結果として、支柱は南北となるようにしました。
その後の手入れとしては、旺盛な徒長枝に環状剥皮をして生長を抑制し、他の枝の生育を促し、下枝の枯れ上がり予防を計りました。
2012年8月 「徒長抑制手術 ~スモモの環状剥皮~」

以下の写真は、環状剥皮後の現在の様子です。 環状剥皮したすぐ下から新しい枝が発生しています。

環状剥皮をすると、幹が枯れます。 内部でも枯れ込みが進んでいますので、健康なところまで切り戻します。

さて、現在の樹形ですが、かなり小枝が繁っています。
このままにしておくと、小枝が共倒れになり、少数の徒長枝がますます旺盛な生長を続け、 始末におえなくなることでしょう。
ちょうど、休眠状態なので、存分な枝の整理をしておきましょう。

さあ、やってみましょう!

整姿に際してまず考えるべきことは、主枝となりそうな枝の選定とその処理です。この木の場合、昨年徒長している大きな枝を候補とします。非常に長く伸びているので、切り戻してもよいのですが、今回は枝先を下に向けて誘引することにしました(強剪定を避けるため)。
枝を誘引する場合、強く曲げると枝の途中から徒長枝が発生します。
この木の場合は、強く曲げることによって結果枝を多くつけることを狙っています。もしも、曲げた枝が衰弱した場合には、途中から発生した徒長枝を更新することとします。

ちなみに、主枝候補をそのまま活かす場合には、ななめ上(30度くらい)に向けてやるのが無難とされています。

▼徒長枝誘引のため支柱を長いものに変える

▼誘引をする

▼あまり無理に曲げると枝が裂けるので注意!

処置として、裂けた部分をビニール紐できつくしばっておきました。

▼花芽

あとは小枝の整理ですが、 花芽をつけているものを残すように間引きます。

結果として強めの剪定になったので、落果の原因になるかもしれません。
そこで、株元を調べて、根の一部(剪定した枝とのバランスで)を切断しておくことにしました。

▼根を切断する


『スモモの平面仕立て』に適した刃物

クラフトチョキ

誘引の紐はもちろんのこと、
ちょっとした小枝も切れる「クラフトチョキ」。
新しくなってますます使いやすくなりました。
グリップカラーは全部で5種類。

お好きな色をお選びください。


新しい記事

カテゴリー

月別アーカイブ

タグ