アルスコーポレーション株式会社

Global Site
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社

プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢物の剪定
   

鉢物の剪定


栽培棚で小さなトウカエデを見つけました。
小盆栽に仕立ててみようとしているものです。
普通であればこのように徒長する前に芽摘みをしてやれば、
樹形を乱さないだけでなく、更に樹形が良くなったことでしょう。
しかし剪定の適期ですから、樹形を整えてやりましょう。

剪定整姿は「樹形」の維持向上が目的です。
「樹形」は大別すると自然風と人口形(トピアリー)となります。
このトウカエデの場合は、自然風それも模様木仕立てといってよいでしょう。

具体的にみますと、幹から枝への「流れ」が曲線的になっています。
ところが、枝先の部分が直立して異様な感じになっています
違った表現をすれば、曲線的な樹形から異質な強い直線が生じている状態です。

ですからこの直線を外して、
更なる曲線構成的な展開にしようという作業が
剪定(芽摘み)ということになります
剪定に際しての基本的な事項を確認しておきましょう。

樹種の特性

スギは放っておいても幹が伸び上がりますが、
バラは何時までたっても株立ちです。
この性質を頭に入れておきましょう。
例えば長寿梅では、株元から元気な新梢が伸びていますが、
これは基部から切除しておかないと幹が育ちません。
そのままにしておくと、樹液は新梢に多く流れ込み、
幹として育てたい枝が衰弱するからです。
つまりバラと同じ「株立ち」する性質なのです。
トウカエデはスギ型です。

剪定の適期
新梢が伸長している夏季と、休眠している冬季です。
冬季は強い剪定をしても生育への悪影響が少ないので、
基本的な剪定整姿は冬季に行います。
ただし、トウカエデの場合は、剪定時期がとても大切です。
というのも、根の活動が非常に早く、
関西地方では2月になってから剪定をすると、
切り口から樹液があふれ出て株を衰弱させてしまうことがよくあります。
ぜひ1月中に剪定を済ませておきましょう。
それでは上記のことを踏まえながら、作業をはじめましょう!

さあやってみましょう!

剪定

トウカエデの剪定ですが、
幹から枝への流れが曲線的なのに対して、
枝先の部分が直立して異様な感じになっています。
今回の剪定では、この直線を外して、
更なる曲線構成を展開できるように試みます。
樹形は、幹から大枝、中枝、小枝という展開をしており、
幹は左右だけでなく螺旋状になっていると立体的ですし、
枝は日光を求めて、外へ外へと伸びだしていると自然な感じになります
剪定は外へ向かっている芽の上で行うようにしましょう

その他の枝も剪定していきます。

かなりすっきりとなりました!
ここからは、樹形をひとつの「かたまり」として捉え、
そこからはみ出している部分(徒長している部分)を
摘み取っていきます

「かたまり」として捉えたときに、赤丸部分がはみだしと考えます。
剪定作業がおわるとこんな感じ!

異様な直線感がなくなり、すっきりとしましたね。

根の更新
鉢からトウカエデを抜き出し、周りの根を外していきます。

根が活躍するのは、伸びだしてから3ヶ月程度。
根の色が白い間は、養分を吸うことができますが、
茶色くなってしまうと、水だけしか吸わなくなります
周りの古い根を外し、更新することでまた株も元気になることでしょう。

植え替え

鉢の底に赤玉土の小粒を敷きます。

植え替えですが、樹形をみたところ左の枝の方が勢いが強いようです。

今後、左へ左へと茂っていくことが予想されますので、左に大きな空間をつくるようにして植え替えを行うこととしました。

また、植え替えた後は、水を張った容器に鉢ごと沈め、腰水をしておきます。

鉢穴からしっかりと水が吸い込まれましたね!
これにて植え替え作業は終了です!
お疲れさまでした。

おまけ

この日は植え替え作業のあとに、挿し木も行いました。その方法を少しご紹介します。

<1>剪定した枝を12cmほどにカット

※新しい根は節から出るので、節の下で切るようにしてくださいね

<2>水を張った容器に入れる

<3>鉢に挿していく

赤玉小粒の土を入れ、腰水をさせた容器に
1本ずつピンセットで挿していきます。
全て挿すとこんな感じ!


また新しい根が出てくれると
次の繁殖につながりますね
ご自宅で植物を増やしたいなあ・・・というときには
ぜひお試しくださいね。

今回の作業に適した刃物

植木鋏ロングタイプ

最新ハイテク技術で軽量化を実現しました。
刃先の長いU-600Lは、堺刃物の伝統を汲む鍛造刃を採用。

アルス独自の熱処理を施した強力な刃先は、いつまでも精度が高く、
バラつきの少ない切れ味を保ちます。

★★★今日のひとこと★★★

雪のちらつく1月19日の取材日は、
内容盛りだくさん!
実はクロマツの松葉も剪定しましたので、
その様子をご紹介。
きゅっと、松葉をしぼって・・・ちょきん!

一番短い松葉に合わせて剪定しました。

伸びきった松葉もすっきり変身しました!
1月も後半戦。
寒さも厳しくなってきましたね・・・!
関西でも雪がちらつく日がでてきました。
みなさま温かくされて、冬風邪などひかれぬよう
ご自愛くださいませ


新しい記事

カテゴリー

月別アーカイブ

タグ