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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

ウメの取木

ウメの苗木は接木で殖やすと思っていましたが、取木でも殖やすことができるそうで、今月から来月にかけてが適期とのこと。
ご存じのようにウメはイチジクやブドウのように、簡単に取木はできないものと思われています。
ところが「ルートン」という発根促進剤の登場で、ウメの取木話ができるようになりました。


取木というのは、親木の枝から発根をさせて新しい株を育成する技法です。

そもそも特別なことがない限り、枝は枝として、根は根として発育しつづけるものです。
それを、人の都合で枝から根を発生させようということですから、
植物の身になってみれば大変に迷惑なことでしょう。
それはそれとして、少し回り道をするようですが、植物の生きざまを考えてみましょう。

植物の生活は種子の発芽から始まります。
そして、発根~子葉の展開~枝葉繁茂~開花結実…
と展開されます。
いかに大木になってもは枝、根は根として生長を続けます。

これから「取木」の話です。
「取木」は“脱分化”と“発根ホルモン”が話のポイントとなります。
まず取木をしたい枝を、親木から切り離さなければなりません。
しかし、ただ単に切り取ると枯れてしまいます。
そこで写真のように「環状剥皮」をします。
これで、ひとまずは親木からの正常な養水分の流れが切断されます。
当然のことですが、親木の方は処理された枝は失ったものと思うでしょうし、
枝の方はなんとしても生き延びようとすることでしょう。
その枝にとって絶対に必要なのは根です。

そこで枝が行うのは、
処理された部分をまったく自由な細胞(脱分化)とすることです。
その細胞が根として発育するのも自由になります。
その際に大切なのは、引き金の役割です。
発根を促す物質、それが「ルートン」というわけです。
簡単なのですが、作業手順を追ってみましょう。

● ● ●  さあ、やってみよー! 【ウメの取木手順】 ● ● ● 

環状剥皮をする枝の選択

環状剥皮 : 樹皮と形成層をきれいに剥ぎ取ること


これに先立つのは、取木した株(苗)をどのように育てるかということです。

【1】 果樹として育てる場合

幹が直線的な(垂直な)枝を選ぶ

【2】 果樹盆栽として育てる場合

曲線的な立ち上がりの枝を選ぶ

環状剥皮する位置

環状剥皮をするのは、節の下5~10mmくらいのところです。
節の下には根源体があり、切り口を癒合することで発根に繋がります。

剥皮のポイント

樹皮と形成層を確実に除去することがポイントです。
少しでも形成層が続いていると復元(回復)してしまいます。

ルートンを塗る

ルートンは粉状ですから、筆などでしっかり処理部につけてやりましょう。

傷口を水苔で保護する

水苔は発根時の土がわりです。
水苔でなく、長繊維ピートモスでもOKです。


黒いビニールで包む

根は光を好まないため黒いビニールで包みます。
この時、雨水が流れ込むように上部はゆるめに結びます。


銀紙で包む

黒いビニールのままだと熱がこもり高温になるため、
銀紙で包みました。

最後にラベルもつけておきました。


秋(落葉時)までに発根する予定です。 11月ごろには鉢上げできるはずです。

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『 ウメの取木 』に適した刃物


植木鋏ロングタイプ

最新ハイテク技術で軽量化を実現しました。
刃先の長いU-600Lは、堺刃物の伝統を汲む鍛造刃を採用。
アルス独自の熱処理を施した強力な刃先は、いつまでも精度が高く、
バラつきの少ない切れ味を保ちます。西先生も愛用のはさみです。

植木鋏ロングタイプ U-600L

植木鋏ロングタイプ U-600L

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