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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

プランター栽培ブドウの整姿

写真は、挿木でふやし、2013年の11月にプランターに植え付けたブドウです。
品種は「甲州三尺」×「マスカット・オブ・アレキサンドリア」で育成された

「マスカット・ベリーA」です。

ブドウはフィロキセラの予防が大切で、

普通は接ぎ木で苗木生産されています。

しかしながら、プランター栽培では用土が新しいので発生の可能性が低いことと、

趣味の容器栽培ですから、簡単にふやせる挿木をしました。

「マスカット・ベリーA」は非常に生育が旺盛で、2015年から結実しています。

一方で、問題は生育の旺盛な品種の宿命でもある新梢の節間が長いことです。

パーゴラなどに茂らせて日除けなどにするには誠に重宝なのですが、

容器栽培ではどうしても樹形が大きくなり、

倒伏の危険性が高くなってしまいます。

この株の場合もそうですが、

幸い株元から新梢が伸び出してくれたので、

この新梢まで切り戻して低い位置から主枝を仕立てることにしようと思います。

切り取る上部ですが、ご覧のように今年も収獲が期待されるので、

今すぐに切除するのはもったいない状況です。

収獲が終わった秋から冬に整姿することにして、

今回は早めに取木をしてやることにします。

うまくゆけば、来年から新しい鉢植えのブドウの収穫が楽しめます。

ブドウ好きな孫たちに果実の実った鉢植えの株をプレゼントできるかも知れません。

さて、作業のポイントですが、

【1】 取木の位置

節の下で環状剥皮をしてやります。

上の写真のように、ブドウは枝の各所から根が伸び出してくるものです。

発生するのは節の辺り、

それも節の下の部分に集中しています。

多くの植物でみられることですが、

ブドウも根原体は節の下部に分布しているのでしょう。

節の5mmほど下の部分で、環状剥皮をおこないます。

ぐるりと一周、切り込みを入れます。

先に切り込みを入れたところから1cmあけて、

下に、もう一度ぐるりと切り込みを。

皮を剥していきます。

【2】 材料

用土は根の好む用土で切り口を包んでやりたいものですが、

今回は水苔を用います。

苔は、水にひたしておきましょう。

水分を含ませたら、先ほど環状剥皮をした部分に、

巻き付けます。

用土の乾燥を防ぐためにポリ袋を用いて包んでやります。

発根のことを中心に考えると、光を通さない黒い色のものが適していますが、

発根の様子を確認するには透明なものの方が好都合です。

ブドウは放任しておいても発根するくらいですから、

あまり色にはこだわらなくてもよさそうですね。

【3】鉢上げ

理想的には落葉した晩秋から早春の間ですが、

発根が旺盛であれば、夏の終わりに鉢上げすることも可能で、実付きブドウ鉢が誕生します。

その際には新梢を剪定して、葉数を少なくして下部をしおれさせないことが肝腎です。

鉢上げまでは、様子を見守っていきましょう。

本日の作業は、これにて完了です。

お疲れさまでした!

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『プランター栽培ブドウの整姿』に適した刃物

環状剥皮では植木鋏を使いました。

繊細な作業から枝切りまで、幅広く対応します◎

詳しくはこちら→植木はさみ

★今日のひとこと★

今回の取材にて、西先生の『プロの園芸作業』は一旦お別れとなります。

永らくのご愛読、本当にありがとうございました。

みなさまの園芸ライフに、少しでもお役立てできていれば、

こんなに嬉しいことはありません。

私も入社と同時にこのコーナーに携わり、

園芸の魅力に触れ、気が付けば部屋には鉢植がちらほら。

緑があると、ほっとしますね。

この取材を通して、たくさん嬉しい変化をいただきました。

お別れはさみしいですが、

これからも益々、みなさまの園芸ライフが楽しいものとなりますように、

心から願っています。

少しずつ暑さが厳しくなる季節、

くれぐれも体調にはお気をつけて、引き続きすてきな日々をお過ごしください。

本当に、ありがとうございました。


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