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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢植えサクランボの異変
   

鉢植えサクランボの異変


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「中国桜桃」だよ、ということで友人から頂いたサクランボがあります。
サクランボといえば「ナポレオン」とか「佐藤錦」など洋種の品種が魅力ですが、

「中国桜桃」は樹形がコンパクトなので、家庭果樹として好適です。
それに鉢植えでも良く結実してくれますし、

挿木・取木で殖やせるのも魅力なので、

「果樹盆栽」に仕立ててみよう、と 枝振りの良いところで一昨年に取木をして、

昨春、上の写真のように鉢上げをしておきました。

順調に生育しているようなので、特に注意をしていなかったのですが、

先日よく観察してみると、

鉢上げしてから発生した新根が下の写真のように

幾つも空中に伸び出しているのです。

更に詳しく調べてみますと、

新根の先端部が丸くふくらんでいたり、枯死しているものがあります・・・。

それに表土から褐色になった細根がいくつも浮き上がっているのが認められます。

どうやら用土の中では快適に生育できない様子です。

その原因について考えてみますと、

昨春の鉢上げの際に、根を傷めるのが心配で、

取木の際に切り口(根の発生部)を包んでいた

水苔を少し残して植え付けたことが思い出されます。

鉢上げの際に用いた赤玉土は、

盆栽用土としても定評のある、排水・保水の良い用土です。

ところがこの鉢の場合には、

用土の中心部(発根部)に古い苔が絡み付いていて、

通気・排水が悪くなっているのではないでしょうか。

このまま放っておいては、まさか枯死することはないでしょうが、

生育不良になるのは目に見えていますし、

まして盆栽仕立てを目指すには、このような不自然な「根張り」ではどうしようもありません。

さて、これからの手入れですが、

株が休眠状態であれば、

鉢から抜き取って用土と水苔をきれいに洗い落してやり、

新しい赤玉土で植え付けてやりたいところです。

しかし、蕾が動いており、

開花しているものがある状態での処理は危険です。

対策ですが

【1】育て方

基本的にこの状態で今秋まで育てて、

秋に落葉してから植え替えをすることとします。

希望的観測ですが、残っている水苔が早く分解してくれることを期待して。

【2】根の処理

浮き上がっている根は、

通気が良好な用土のなかに、浅く入れてやります。

根っこを黒い針金を用いて、土の中に入れ込みました。

【3】花・蕾の処理

開花・結実は、株の衰弱に直結しますので

摘み取ることとします。

【4】切り込みを入れる

新梢を伸ばしたい位置の葉芽の上で、

軽く切り込みを入れておきます。

放任しておくと、先端部の芽に集中的に養分が流れ込んでしまうため、

それを防ぐための処置となります。

【5】置き場所

栽培棚の中央部よりも風通しの良い縁に置いたり、

他の鉢よりも鉢の位置を高くしてやるなど、

通期・採光の良い環境を作ってやります。

また、鉢穴が塞がったり排水不良にならないよう、

注意してくださいね。

これにて、本日の作業は終了です。

おつかれさまでした!

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『鉢植え桜桃の異変』に適した刃物

切り込み作業ではフローリストナイフを使いました。

折り畳み式のコンパクトなナイフです^^

FN6TRBP-m-01-dl

詳しくはこちらから→フローリストナイフ

★今日のひとこと★

いよいよ、春本番!

大阪では桜が満開です。

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桜ってほんとうに人を惹きつける力があるなあ・・・と

お花見で賑わう休日の駅で、実感しました。

みなさま、それぞれの場所で素敵な春をお過ごしください◎


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