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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢植えミカンの摘蕾


1月にビニールで鉢全体を包み、 軒下で越冬させた 「甘夏」・「ハッサク」・「ユズ」の3種を接木した株が 元気に蕾を出してくれました。
蕾(花芽)は充実した枝、 あるいは極端に衰弱した枝に着きますが、
この株の場合には元気な葉を着けていますので、 昨年は順調な生育をしたのでしょう。

つぼみの様子いろいろ

▼ミカンの蕾 今年の春に伸びた枝 (蕾の数が少ない)

▼去年の枝についた蕾(蕾が複数ついている)

▼衰弱した枝についた蕾(葉の数が少ない)




果樹栽培で果実がたくさん収穫できることは 勲章のようでもあり嬉しいものですが、 注意しなければならないのは、ミカンにも、果実を成らせすぎると翌年には結果しない「隔年結果」という現象があることです。

そこで今の時期、「摘蕾」という大切な作業があります。

これによって木の負担を軽くし、 来年の結果枝を確保するだけでなく、
果実の品質向上も期待できます。 ところで、一つのミカンの果実を育てるには、 どれほどの葉が必要かが問題です。種類によって異なりますが、
20枚を確保してやればよいそうです。注意しなければならないのは、木としては来年の結果枝(結果母枝)も育てなければならないのですから、 20枚×2=40枚と最低でも配慮して作業する必要があります。

さあ、やってみましょう!

甘夏を収穫する

現在結実しているのはすべて甘夏です。収穫は通常は冬ですが、
この株は半ば観賞植物のつもりで育てている面がありましたので、
5月に入っても結実させていた次第です。今回の作業に先だって、収穫することにいたします。

甘夏の収穫

甘夏の収穫後

主役の種類を保護育成する

この株の場合、ハッサクを主役にしたいのです。
ところが接木をしたのは甘夏が早かったために、現状では先端部を始め全体の枝数も多く、 ハッサクを圧倒しています。そこで甘夏の枝に多く結実させ、ハッサクには結実させないことにしました。また、下枝ほど大事にしたいものですから、下部についた蕾はすべて取り除くことにしました。

▼花の様子
ピンク丸で囲んだ部分が甘夏です。黄色丸で囲んだ部分がハッサクです。


鉢植えミカンの摘蕾

▼下枝の摘蕾完了

ハッサクの蕾

▼ハッサクの摘蕾

摘蕾する枝(新梢)

昨年の新梢(結果母枝)から伸びだした新梢の先端に着蕾しているのですが、 複数の新梢に着蕾している場合には、最も長い新梢の蕾を残すことにします。

鉢栽培の場合には、木をできるだけコンパクトに育てたいところです。そのためには、剪定で枝を切りつめるのではなく、枝自身が徒長しないように仕向ける必要があります。

その答えは「枝垂れさせる」です。

果実の重みで枝垂れた枝は衰弱します。
そして枝の途中から新梢を発生させることになり、結果として現状よりも短縮することになります。 剪定をすると木は反発するように、元気な新梢を発生させることが多いものですから。

甘夏の蕾

▼残す枝を4本に絞り、それ以外の枝を摘蕾する


完成

鉢植えミカンの摘蕾完成


収穫した甘夏のおいしかったこと!
今回の取材で鉢植えでもおいしくて立派な果実がなるんだということを
改めて実感しました。

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『 鉢植えミカンの摘蕾 』に適した刃物

今回、摘蕾作業で使用した商品はクラフトチョキです。
誘引の紐やビニールはもちろんのこと、
ちょっとした小枝も切れる「クラフトチョキ」。
刃先の切れ味が抜群ですので摘蕾にも最適です。
グリップカラーは全部で5種類。 お好きな色をお選びください。


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