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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

観賞用ミカンの整姿

ユズの台木に甘夏を接木し、
更に八朔を接木している鉢植えです。

一つの株で三種の果実を、という贅沢な話なのです。
彩りの乏しい冬の時季には晩生柑橘類は重宝な存在ですから。

有りがたいことに、今年は写真のように
三種の果実がよく着いてくれ、
秋からこれまで玄関辺りで観賞することができました。

ところがあまり欲張ったことから、
これまで毎年果実を着けてくれていた甘夏の部分が
非常に衰弱しているので、何とかしなくては!と思っています。


※甘夏の葉っぱが黄色くなり元気をなくしてきています・・・

もともとこの株では、甘夏が元気に茂っていたのですが
できれば八朔を主役にしたいというのが本心でした。

そこで昨年。これまで元気に茂っていた甘夏の部分に
多くの果実を着けて勢いを抑制し、
八朔にはたった2つの果実しか着けないように摘果したのです。


※現在八朔には2つの実がついています

ご承知のように、果実を着けた枝はとても衰弱します。

そうした果実の性質が頭に浮かんだものですが、
こちらの勝手な都合を知ってか知らずか
真面目なこの木はその希望にほぼ沿った姿になってくれました。

甘夏中心の樹形から、八朔を主役にしてやろうという計画は
大筋では成功しました。

しかし少しやりすぎてしまったのでしょう、
八朔の部分の枝の葉は深い緑色(元気な印!)ですのに、
甘夏の部分の各枝が衰弱して葉が緑を失い黄色みを帯びています。


八朔(左)・・・深い緑色の葉
甘夏(右)・・・黄色みを帯びた葉

このままにしておくと、
甘夏の部分の枝が衰弱枯死してしまう危険性が予想されます。

それらの対策を今回は行いましょう。

● ● ● ● ● ● ● さあ、やってみよ~!● ● ● ● ● ● 

■ 摘果

まずは実の収穫を行い、木にかかる負担を軽くします。

〇ユズ〇

実から10cmくらいのところで切るようにします。

写真のように黄色くなり弱っている枝は果実と一緒に切除します。
残しておいても、今年は貧弱な芽しか伸ばせず
結果は期待できませんから・・・
また、柚子の枝にはトゲがあります。
作業の際は十分気を付けてくださいね。


柚子の収穫をした後はこんな感じ!
甘夏(右)と八朔(左)がはっきりとわかるようになりました。

〇八朔〇

下垂している枝は不要なため、
枝が下に落ちかけているところに鋏を入れ、収穫します。


八朔の実を収穫した後はこんな感じ!


残りの実は全て甘夏です。

〇甘夏〇

最後に甘夏の実を収穫します。

八朔の時と同じように、
下垂している枝は、枝が落ちかける前のところに鋏を入れます。

========まめちしき=======================
八朔と甘夏の実って似ていますよね。
剥けば皮の厚みの違いで、どちらかがわかりますが
見た目からは“シワの違い”でわかります。


※ヘタに向かってシワがある方(左)が甘夏!
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これにて3種の摘果作業は完了!

だいぶ軽くなりましたね!

■ 枝の剪定

次に枝の剪定を行います。
まずは、枯れ枝の切除から。


ちょきん!

次に間延びしている枝を切り戻します。


ちょきん!

また、右の方向へ伸び甘夏の生育を妨げる恐れのある
八朔の枝も剪定しておきす。


ちょきん!

剪定が終わりました。

だいぶすっきりしましたね。

======蕾がついている枝について==============

写真のように蕾がついている八朔の枝は、今回剪定をしていません。

実の重みで自然に枝が下垂し、枝の成長も抑制されることでしょう。

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基本的なことですが、木は不要な枝葉は着けていないはずですから
いい加減な枝葉の切除は禁物です。

自信がないときは控えめにしておきましょう。

■ 新しい土の追加

最後に、かねてから予定していた空き袋を取り除き、
新しい用土を入れてやります。

抜けるかな・・・!

抜けました!

そこに落ち葉やピートモスで調合した新しい土を入れていきます。
これで株全体の体力がついてくれるでしょう。

※赤玉中粒でもOKです

最後に上からピートモスを敷いておきます。

ピートモスは保水力があり通気性に優れています◎

これですべての作業が終わりました~!!!

おつかれさまでした!


『 観賞用ミカンの整姿 』に適した刃物
枝の剪定では、剪定鋏S型7インチを使いました!
鍛えて造った鍛造刃で、するどい切れ味と耐久性を兼ね備えています。
▼剪定鋏S型7インチ

★★★今日のひとこと★★★
今回の鉢植えは、これまで何度か記事として登場しております。
よければこれまでの流れをみてみてくださいね~!
鉢植えミカンの摘蕾(2013年5月)
鉢植えミカンの収穫と増し土(2013年12月)
ミカンの旬の手入れ(2014年6月)
こうして、これまでの成長を追っていけるのも
楽しいなあ・・・としみじみ思った今日なのでした*
季節の変わり目、みなさまご自愛くださいね。


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