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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

ブドウの緑枝処理
   

ブドウの緑枝処理


アサガオやニガウリ(ゴーヤ)などの蔓植物を使って、
「緑のカーテン」作りが盛んですが、
ブドウもパーゴラや壁面など、広い場所では素晴らしい素材です。
それに樹木ですから、毎年植え付ける必要がありません。
ただし、果樹園での栽培とは違う作業もあります。
緑枝の処理」もその一つです。

果実の収穫のみを目的としている場合は、
不要な枝は発生したその都度に切除しますが、
緑のカーテン」作りの場合は、
どうしても枝数を多くし日陰をしっかりと作りたいことから、
伸びだす枝をつい残してしまいます。
しかし、これを冬まで放任しておくことは問題です。

今年は秋になっても暑い日が続いていることもあり、
新梢の先端は新緑で伸び続けているものもあります。


単純に考えると、
枝葉が多くなることは同化作用が盛んになるので、
株の充実につながるように思えます。
しかし、落葉樹の場合は夏の終わりには伸長を止めて、
新梢の充実に入らなければなりません。
秋になっても新梢の伸長をしていると、
貯蔵養分の浪費になります。
特に冬季の本格剪定で切除する枝の場合は問題です。
写真のように、この時季になると、太くて褐色の充実している枝と
貧弱で緑色の枝にはっきり分かれています。

この緑色の貧弱な枝を切除しておきます。
こうした枝を残しておいても 冬には衰弱枯死していることすらあるものです。
切除の要領ですが、 緑枝の基部から切除しないで一節残しておきましょう。

ブドウの場合は、他の樹木と異なり、切除した切り口に癒合組織が発達せず、 切り口がそのままになります。 当然切り口は枯死することになり、 これが母枝に悪い影響を与える危険性があるからです。
できれば切り口に「トップジンM」などの切り口保護剤を塗布しておきましょう。

枝が少なくなって寂しいようです。これからは日々に日だまりが恋しくなります。

それに一面に葉が繁っているうちは気付かないのですが、
落葉すると枝の状態が丸見えになり、
すっきりと誘引している場合はよいのですが、
手抜きをしていた場合は枝の状態が見苦しいものになってしまいます。
もしも残った枝(来年の結果母枝)をきれいに誘引するにしても、
少ない程作業は楽です。

なおこの「緑枝処理」は早い時季に行うと、
木がバランスを崩して、残した大切な来年の結果母枝から
秋枝の発生を引き起こすことになるので注意しましょう。
ブドウも冬支度。緑枝処理は「緑のカーテン」では秋の大切な園芸作業の一つです。

観察メモ
一部、節間がふくらんでいる枝が見つかりました。

これはもしや・・・と、枝を割いて確認したところ、
ブドウスカシバの幼虫を発見!!
ブドウスカシバは、ブドウの新梢に食入し、 内部で枝を食べて大きくなります。

このような枝を見つけたら、食い荒らされる前に切除しておきましょう。


『ブドウの緑枝処理』に適した刃物

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編集後記
雨が降るごとに、気温が下がる今日この頃。
そろそろ、お鍋やこたつが恋しい季節ですねぇ。
ブドウもヒトも冬支度を整えて、今年の冬も元気に乗り越えましょう。
編集:社員A子


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