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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

落葉樹の植え替え
   

落葉樹の植え替え


春の植え替えは、新根の伸び出す直前が適期です。
3月の声を聞くと、落葉樹の根は本格的な活動に入ります。
養水分の流れは、先ず細根から太根、そして幹~大枝~小枝と流れ、生長点に届いて発芽、ということになるのです。特に養分の吸収は根毛とも呼ばれる細い根が主役で、太くなるほど能力は低下するものです。


そして、根の状態と枝の状態とは密接な関係があり、根張りと枝振りとは、ちょうど形と影の関係と言ってもよいでしょう。職人が枝振りを見て、根張りの状態を見分けるという話も、この辺りにあるのでしょう。
また、盆栽では大切な小枝を沢山茂らせるには、小枝を大切にしなければならないというのも同じ原理です。

鉢植えの場合で植え替えが大切なのは、放任しておくと少数の太い根が徒長して、細い根を圧迫し枯死させるのを防ぐことです。
つまり小枝の枯死と徒長枝の発生防止になり、樹形が向上する訳です。

要領は、写真(1)のように、鉢土の周囲を包んだ状態になっている根を鋏で切り取ります。この時鋏は、いわゆるナマクラと呼ばれる切れ味のよくないものが適しています。良く切れる鋏は刃こぼれを起こしやすいからです。

次に、根や用土などを点検・整理し、良く切れる鋏や刃物で根を切り戻します〔写真(2)参照〕。

切り口が潰れたような状態では、切り口の治癒が悪く、切り口周辺からの新根の順調な発生を期待できません。
根の整理が終わったら、元の鉢あるいは予定の鉢に入れて、鉢との隙間に新しい用土を入れます〔写真(3)参照〕。基本的に用土は元の用土と同じものを用います。用土の性質が異なると、新根の発生が悪くなるようです。植え終わったら軽く鉢を落として用土を落ち着かせます。

そして株が動かないように、紐などを用いて鉢に固定しておきましょう〔写真(4)参照〕。

株が動くと、新根の発生が非常に悪くなります。
最後に潅水ですが、出来れば水を張ったバケツなどに鉢ごと静かに沈めてやると、鉢穴からの水の浸透具合で、排水の具合が判りますし、用土全体にムラなく水を吸収させることができます〔写真(5)参照〕。

この時、株が弱っていたり、移植の難しいものなどは、この時に発根促進剤を吸収させるとよいでしょう。


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