アルスコーポレーション株式会社

Global Site
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社

プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

伊予柑の樹形の乱れ
   

伊予柑の樹形の乱れ


夏の間留守にしていて、久し振りに伊予柑の様子を見たところ、写真のように、一部の枝に果実がたくさん着き、その重みで側枝・結果枝が垂れ下がってます。
伊予柑の全体写真(赤枠:枝が垂れ下がった箇所、黄枠:不結果の枝が多い箇所) 結果が多く、枝が垂れ下がった箇所


昨年にたくさん成らせたので、今年は結果枝の数が少ないからと油断し、摘果を怠けていたのです。
御承知のように、果実は自分で同化作用をするのを怠るので、発育するには葉からの供給が頼りです。柑橘類では果実1個を発育させるには、温州ミカンで20~25葉、甘夏や伊予柑で80~100葉が必要とされています。
この側枝の場合、果実6個に対して葉は約180枚です。180枚の中には、小さくて能力の低い葉や、陰になっていて効率の悪い葉が3分の1以上含まれていますので、実働している正常な葉の数は120枚ほどです。これでは、大変な葉数不足です。
早速摘果しなければならないところですが、 『あと2ヶ月で収穫出来る!』と思うと、摘むのが惜しくなってしまいました。
というのも、この側枝単位での果実と葉数のバランスでは、非常に葉数が不足しているのですが、樹全体から見ますと不結果の枝(葉)から養分が送られてくる、という好都合なことが期待できるからです。
この樹の場合、結実している枝とそうでない枝のバランス は、結果しているのは少数派の枝で、今春に伸び出した新枝の多くは不結果の状態であることも、こうした無理をさせる気になる所以でもあります。
結果の枝が多い箇所

<さあ、やってみよー!>

1)日焼け防止
柑橘類の樹皮は傷つきやすく、強い直射日光が当たると「日焼け」を起こすことがありますから、布などで保護してやります。
枝垂れたために、直射日光が当たっている側枝 布をまいて保護
2)支柱を添える
一番注意しなければならないのは、主枝と側枝の分岐している部分で裂けることです。それに、枝先が枝垂れていると、枝全体が衰弱して行きますので、支柱を添えて持ち上げてやります。その際に留意すべきは、主枝と側枝の分岐部の角度ですが、45度位にすると良いとされています。また、今年側枝から伸び出した新枝は30度を目安としますが、これは12月の収穫後に整えることにします。
支柱を添えて枝を持ち上げました
3)来年以降へ向けて
一部の枝の異常で、その対策が必要でしたが、これからのことも考えておく必要があります。側枝ですが、先端部(結果枝)にだけ葉が着いており、昨年までに伸びた部分には葉がありません。樹の内部にあるので、ほとんど日光が当たらないのでしょう。将来的には、この側枝を間引いての樹形作りも考えておく必要がありそうです。
4)おまけ
株元を見てみますと、実生苗がちらほらと顔を出しています。皆さまも一度、株元をご覧になってみてはいかがでしょうか。
伊予柑の実生苗


新しい記事

カテゴリー

月別アーカイブ

タグ