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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

モモの生垣仕立て
   

モモの生垣仕立て



「白鳳」という品種を鉢植えにしていたのですが、
今春に露地植えにしました。
小さな樹形ですが、2つ結実しました。
大きく育てるのであれば、摘果して主枝を育てるようにすべきですが、
ブロック塀を利用してコンパクトな“生垣仕立て”をしたいと思いました。


そこで、果実をそのままにし、
主枝の徒長を抑制することにしたのです。
それでも、主枝はしっかりと伸びてくれましたので、
枝が硬くなりきらないうちに、
これらの主枝を、塀に添って“平面的に”誘引することにします。
枝の状態を観察しますと、写真のように、
葉の基部に複数の芽ができています。

モモの花芽は7月下旬~8月下旬にかけて分化するようですから、
複数の芽が着いているのは花芽と葉芽が同居している(複芽)のでしょう。
ちなみに、花芽の着き方は品種によって異なり、
「白鳳」「大久保」「白桃」など私たちが親しんでいる品種は複芽になるようですが、
一部の品種では、単芽といって葉芽か花芽が
どちらか一つしか着かない品種もあるようです。
さらに、単芽と複芽が同居する品種もあるようですが、
「白鳳」は複芽のタイプですから花芽の見分けは簡単です。
さて誘引ですが、枠に張り付けるように誘引するだけのことです。
誘引に際しては、樹皮を傷つけないように
柔らかい麻紐などを用いて、写真のように、
枠と枝の間に紐が入るように捻りをかけておくとよいでしょう。

そして大切なことですが、枝の生育状態を見ますと、
特に処理をしないと、上部の枝の勢いが強くなる一方で、
下枝は年毎に衰弱していきます。
そこで、下枝は斜め上に伸ばすようにし、
上枝は横に倒すようにしておきます。
ちなみに、枝は伸長が止まると硬くなり始めます。
モモは9月に入ると硬くなり始めますので
無理な誘引は控えます。
さて、こうした刺激で枝が新しい伸長を始めるといけないので、
枝の徒長を防ぐのに効果があるとされる【Bナイン】を散布しておきます。
ご承知のように、勢いの良い枝は台風などで葉を奪われると、
秋になっても発芽する性質があります。
枝の処理をする場合には、葉を落とすなど
強い刺激を与えないように注意しましょう。
写真の状態でこの時季の手入れは終わりですが、
本格的な樹形作りは落葉してから行います。

モモは春の生育開始が早い方ですから、
2月までには済ませておきましょう。
それに、あまり強い剪定をすると、木がバランスを崩して
せっかく開花しても果実は途中で落ちてしまうことか多いものです。
そこで一つの目安として、剪定で切除する枝の量は
全体の3分の1以内にとどめるのが無難なようです。
特に若木では強剪定は禁物です。



『モモの生垣仕立て』に適した刃物



クラフトチョキ

誘引の紐はもちろんのこと、
ちょっとした小枝も切れる「クラフトチョキ」。
新しくなってますます使いやすくなりました。
グリップカラーは全部で5種類。
お好きな色をお選びください。
新クラフトチョキ
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