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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

モモの植え替え ~盆栽風な仕立て~

元々は露地植えをしていたモモですが、
庭の都合で容器栽培にしている株です。

全ての葉を落として休眠に入ったようなので、
植え替えをし、少し樹形をコンパクトにし、
盆栽風の仕立てにしたいと思います。

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まず、容器を外して根の状態を点検します。

 

容器を外したら、周囲10cmほどの土をくずしていきます。

 

2年間容器で育てたのですが、根は写真の状態です。


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根を切り戻します。
もう少し内部から新根を発生させ、根群を小型にするためです。
傷口の大きなものはトップジンM(傷口保護剤)を塗っておきます。
このように、根群の状態をしっかりと確認しておくことが
樹形づくりの基礎となります。
地上部を養うのは地下部(根)となる訳ですから。



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根の整理が終わったら、容器(枠)を戻します。


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根群の周囲に補う用土は赤玉土の単用とします。
露地植えされていたときは、
排水の良い山土で、赤玉土がそれに近い用土だと思いますので。
なお、赤玉土を少し湿らせてから用いると根の乾燥防止になりますし、
植え替え終わって潜水したときに水がムラなく浸透してくれます。

 
 

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灌水はじょうろでていねいに行います。
用土のどの部分にもムラなく水を供給してやることが第一ですが、
新しく補った赤玉土を根に密着させることも大きな狙いです。

底から水が滲みだすまでが目安です。

 
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根の処理ができたら樹形づくりです。
肝心なことは、根張りの状態を思い浮かべなから行うことです。
枝が多すぎて根の負担が大きすぎると枝枯れを起こしますし、
枝が少なすぎると枝の徒長を起こして、
せっかく着いた果実の落果を引き起ことがあるからです。

強い剪定は落果を引き起こすことは他の果樹でも認められますが、
モモ、それも若い樹は枝葉の伸長が極めて旺盛なので、強い剪定は危険です。
露地植えの安定した樹の場合でも、
枝の間引きは3割以内に止めておくのか安全だとされているようです。

bud環状剥皮をしていた枝を切除する
 

そのほか、
枝の整理は下方の主枝から始めます。
上方の枝の剪定を間違えても新しい枝の発生を期待できますが、
下方の枝になるほど枝の再生は難しくなるからです。

小枝については、まず枯れ枝から行い、貧弱な枝へと進めます。

bud枯れ枝を外す

写真を見ると、少し枝の色が変わっているのがわかるでしょうか。
それが、枯れ枝です。
枯れ枝は外します。
▼指で押さえている枝が枯れ枝です

 

▼左側の枝が枯れ枝です

 
bud大枝を切り詰める

樹形を考えながら、主枝となる大枝を切り詰めます。

 
 
 

大きな切り口にはトップジンMを塗っておきます。


bud徒長枝を外す

まっすぐに直立した徒長枝は外します。

 

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最終的な樹形がこちらです。

今回は「庭で育てるのだから」と盆栽仕立てとまではいきませんが、
盆栽(自然形)風な仕立てを念頭に整枝剪定を行ってみました。

最終的な樹形を見ると、
一の枝(もっとも右側の枝)の勢いが非常に強くなっていますが、
下枝は枯らすと蘇ることがないため、とても大事にしたがゆえです。
来年は1の枝に実をたくさん着ける予定です。



『モモの植え替え ~盆栽風な仕立て~』に適した刃物scissors


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