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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢植えブドウの誘引


ブドウは蔓植物とされています。

蔓植物は自由自在に茂る植物というのが
第一印象のようですが、ブドウは違います。

とても不器用な植物のようです。

4月から5月にかけては、目を見張らせるような伸長をしますが、
一夜にして大切な新梢が強風に折られてしまうことがあります。

一見非常に太くて丈夫そうな新梢ですが、
圧力の加わる方向によっては、誠にあっけなく折損してしまうのです

新梢が折損しやすいのは、母枝の方から引き離すように
力が加えられた場合です。

新梢が発生して間もない時期には、
かなりの強風でも折損しませんが、
この時期にはかなりのボリュームがあるので被害が生じます

ブドウの新梢(巻きヒゲ)は接触したものに絡みつく性質がありますから、
適切な誘引をしてやらなければなりません。

特に鉢栽培ではコンパクトに仕立てたいのと、
発生する新梢の数が少ないので新梢は大切に扱いたいのです。

さて、その容器栽培のブドウの季節の大切な作業の誘引ですが、
書物を見ると「行灯(あんどん)仕立て」がよいとされています。

ところが不器用な筆者の場合は、
誘引の際に新梢を基部から折ってしまう失敗を繰り返しました。

そこで行きついたのが「直立仕立て(行け行け誘引)」です。
今回はこの方法で、一才山ぶどうの誘引を行いたいと思います。


さあやってみましょう!

■支柱を立てる


誘引をしやすくするために、鉢の縁に支柱を差し込みます。

また支柱の間には横向きに一本支えをつくっておくことにします。

■リングの中に囲い込む


発生する新梢は、写真のように針金で作った輪の中に
全て入れておきます。

こうすることで、強風などでの新梢の折損を防ぐことができます

新梢の整理

新梢はたくさん生じても、肝心なのは蕾を持つ新梢です。

蕾を持っていないものは、養分の無駄遣いになりますから
芯や新梢を摘み取ることにします

また、植物は実よりも葉を大切にする性質を持っています。

大量の葉っぱに養分を送ったために、実が落下してしまった・・・という
ことにならないようにするためにも、新梢の整理は欠かせません
※新梢の整理については、一才山ぶどうでの新梢が少なかったため
同じブドウのデラウェアという品種にて行いました。

■誘引

誘引では、鉢の縁に押し込んだ支柱を利用します。

こうすると新梢は垂直に伸びあがり、
当然のことですが樹高が高くなって鉢が倒伏しやすくなります

そうした場合には、新梢を適当な位置で下方へと誘引してやります。

ご承知のように、下方に向けられた新梢は激に伸長が弱まり停止します。

その辺の加減は、一つの果房の成熟には
少なくとも正常な葉が10枚は必要だということでしょう。

こうした配慮もブドウとの楽しい会話となります。

この一才山ぶどうの鉢も
もう少し樹高が高くなれば誘引が必要となるでしょう


『 鉢植えブドウの誘引 』に適した刃物

新梢の整理では、クラフトチョキを使いました◎
細かな作業となるため、小回りのきく刃先がぴったりです
ソフトグリップで長時間の使用でも手が疲れにくい!

クラフトチョキ

★★★今日のひとこと★★★

今回取材した、「一才山ぶどう」はコンパクトで
育てやすくたくさん実がなる品種です。

西先生のお宅にはこのほかにも「デラウェア」
というブドウの品種がありました。

こちらは大型ですが、一才山ブドウに比べると
花が少ないのだそう。

2つを隣に並べてみると、サイズの違いが一目瞭然!


大型なデラウェアと
コンパクトな一才山ぶどう・・・!

同じブドウでもこんなにも違いがあるのだなあと
実感した取材日でした。


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