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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

カンキツの防寒
   

カンキツの防寒


カンキツの原生地はインド東部だそうで、
これが東南アジア~中国、そして我が国へと伝わったとされています。

その中から我が国に適した系統が育成されて普及しているのですが、
基本的には寒さに弱い植物であることが分かります。
ユズやナツミカンなどは一般家庭の庭で放任しておいてもよく結実しており、
晩秋から春にかけての風物にすらなっていますが、
平地でも防寒をしてやると樹勢を保つのに役立つだけでなく、
ナツミカンなどでは甘味が増すことが知られています。

もしも寒害を受けますと、春の発芽が遅れるので樹勢を弱めることに直結します。

また、カンキツは年に3回位、枝を伸ばす性質があります。
順調に育った春枝・夏枝は秋までに充実して越冬力もあり、来春に開花結実してくれますが、秋枝には花芽はあまり期待できません。

それに充実が悪いので、寒冷地では凍傷を起こしやすいので間引いておくのが無難でしょう。

防寒の第一は防風です。
落葉樹のウメやカキと異なり、常緑樹なので乾燥した北風により脱水状態になる危険が高いのです。

理想的には、寒冷紗などで全体を防風・霜除けしてやることですが、
温かい日溜りのような場所では、樹冠に霜除けをしてやるだけでも来年の芽立ちを早めることができます。
防寒の際には、葉を窒息させないようにすることが大切で、枝葉を固く結束するのは危険です。
従って、確りした支柱を立てて、枝葉を結束することのないように、ゆったりと包んでやることです。

降雪のある場合には、くぼみが出来ると、
そこに雪が溜まり、枝を折ってしまうことがありますので、
雪が溜まらないようにすることが大切です。

小型の樹の場合には、株全体を包んでの防寒が可能ですが、
大型の場合には、主枝を中心に枝単位で支柱を添えての防寒になります。

支柱を立て防寒紗を巻き、防寒紗の上から更に紐で押さえる

こうした作業は木の大掃除でもあり、
平素見落としていたカイガラムシの寄生を発見出来たり、
枝振りを確認できて、整枝・剪定の段取りがはっきりしてくるものです。

カイガラムシについては、通常の殺虫剤では効きませんから、
発生の少ない場合には、手で掻き落せばよいのですが、
手に負えない場合には防寒する前に、マシン油を成分としたものなどの専用の殺虫剤を撒布しておきましょう。
カンキツは落葉樹と異なり、あまり枝が徒長しないだけでなく、
枝葉が少なくて強い直射日光が幹や大枝に当ると、枯れ込みを起こす危険があります。
自信がない場合には、特に枝が込み合っている場合意外は、
あまり剪定をしない方が無難でしょう。

枝の整理に当たっては、今年結果した枝からは、
来春に結果する枝は出ませんので、間引く枝の第一候補となります。


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