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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

果樹の誘引
   

果樹の誘引


梅雨期には、雲天と多湿で、新梢(新しく伸びた枝)の徒長が目立ちます。徒長は樹形の乱れが気になりますが、徒長枝は柔らかいので、この時期、樹形を整える場合には重宝します。

早速、鉢植えしているスモモの樹形が乱れているので、徒長枝を使って樹形を整えることにしました。
主枝は3本ですが、徒長枝の勢いはかなり違っています。実は今春の状態で、枝のバランスをとるため、中央の弱い枝は直立させ、強い右の枝は横に倒し、ほどほどであった左の枝は斜めにしておきました。

枝の一般的な性質として、直立している枝が最も元気に生育し、下方に向けられた枝は衰弱傾向になることを利用したのです。


作業前 作業後
さて、樹形作りですが、当初の計画通り、後方のネットを利用して、平面的に仕立てていきます。
今回の作業としては、中央の徒長枝を左右に広げることが主要になります。留意点としては、徒長枝は基部から折れやすいこと、枝を左右に広げるときに枝を裂くことです。

接木テープ中 接木テープ後

そこで、樹皮を傷つけないのと、裂けるのを防ぐために、写真のように昨年の枝の部分から、徒長枝の作業をする部分に接木(つぎき)テープを巻いて、保護しておきます。次に、針金を左右に分ける枝に添えて、枝の裂けるのを防ぎ、無理をして枝を折らないように補強してやります。

針金添え 中央枝結束
ひねり中 ひねり後

ネットへの固定ですが、写真のように中央の主枝をまず、しっかり結束しておきます。
後は、徒長枝の部分を結束するのですが、くれぐれも無理をしないように心がけます。特に、枝が太い場合には、結束する前に曲げる部分に「ひねり(枝の組織を軽く割く)」を加えておくとよいでしょう。

生育中は、枝が柔らかく傷ついても治癒が早いので、一度に目的の状態に達しない場合は、秋までに何回かに分けて整えてやりましょう。
問題は徒長枝の処理です。所定の樹形から見ると、伸びすぎており、途中から切除したいところです。しかし、今剪定すると、木はバランスを乱し、新たな徒長枝を発生しますし、最悪の場合には、主枝の中程から基部にかけて、短い枝が多数出ていますが、これの先端部から新しい芽が伸び出してくることがあります。

この短い枝は、そのままにしておけばこの夏に花芽分化して、来年の結果枝になってくれるはずです。ところが、強い剪定のショックで芽が伸び出してしまうと、単なる徒長枝となってしまうのです。

徒長枝も木の勢いによって伸びているものです。一見、無駄なようですが、生育は木に任せて、この徒長枝は「遊び枝」としておきましょう。
なお、接木テープは、伸縮性がありますが、枝はこの夏から秋にかけて太りますので、枝の肥大を妨げないように外してやります。特に結束部は枝に食い込むと大変ですから、早めに外してやりましょう。


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