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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

果樹盆栽づくり ~グミの植付~
   

果樹盆栽づくり ~グミの植付~


植木鉢には二つの種顆があります。
一つは根の生育に適した環境をもつ栽培鉢、
もう一つは植物の美しさを引き立てる化粧鉢です。

今回、グミの盆栽仕立てを思い立ったのですが、
肝心の根の状態を見て、鉢を選ばなければなりません。
そこで、まずは鉢から出して、根を見てみることにしました。

長い間、放任していたのですが、鉢穴からは根が出ていません。
棚の上に置いていたためです。
と、同時に、
鉢土の中では根がパンパンに張っているようです。
なかなか鉢が抜けません。

▼鉢のフチを台に打ち付けて外してみる

なんとか鉢から抜き取ってみると、
根がびっしりと生えていました。

さて、盆栽仕立てでは「根張り」が大切です。

根張りとは、樹木の根元の上根の状態を言います。
「樹形は根張りによって決定される」
といっても過言ではありません。
根張りが樹形を支えているからです。

根が四方八方に広がっている場合には、
力強く幹を直立させても似合いますし、
根が片方にしか出ていない場合には、
幹は斜めに(倒れた感じに)伸び上がっているのが自然になります。

そこで、根張りの状態を確認するために
鉢土の表面をピンセットで放射状になぞり、
根を傷つけないように注意しながら、根を浮かび上がらせます。

ところが…、
期待したような、しっかりとした太い根張りが見つかりません。
ほとんどが細い根です。

根張りを確認する前は、
これまでの栽培鉢よりもう少し浅い鉢に植え付けることも考えていましたが、
まずは、きちんと根を作り直すことにします。

そこで、根を少し切り戻し、
もう一度、栽培鉢に植え直すことにしました。
養水分を吸収するのは発根して間もない白い根(新根)です。
太い古い根は切り戻し、新根の育つ環境を確保してやるのが植え替え作業です。

もっと、根を切り戻しても良いのですが、
あまり切り詰めすぎると伸びが悪くなるので、
ほどほどのところにしておきました。

用土は赤玉土にします。
排水の点から考えますと川砂が浮かびますが、
果樹の場合には、用土の乾燥は好ましくないのです。
急激な乾燥は果実を落としてしまう危険がありますから。
鉢底に赤玉土の大粒を入れます。

グミを元の鉢に戻します。

周りに赤玉土の小粒を入れます。

用土を入れ終わったら、
麻紐で株をしっかりと鉢に固定しておきます。

新根の発生に際しては、株が動かないようにしておくことが大切なんです。
麻紐の良いところは、
新根が伸びて株が安定するころには腐ってくれることです。
ビニールテープのように腐りにくいもので固定しておきますと、
幹が肥った場合に食い込んでしまい、
取り返しのつかない傷を作ってしまうことがあります。

腰水をします。

最後に、ラベルをさして、
本日の作業は終了です。

camera1追記

今回の鉢は、
前回のレポート「果樹盆栽づくり ~グミ~」で剪定したのですが、
少し長めに残っている枝があります。
長く残した枝には花芽が2つもあったので、
惜しくて残しています。


pencil取材後記

今回は前回のレポート「果樹盆栽づくり ~グミ~」のつづきで、
新しい分野“果樹盆栽”への取り組みでした。

しっかりと育っていたので、
しっかりとした根張りがあると思っていたら、
細い根しかなかったことに西先生も驚いておられました。
長年、園芸に携わっている西先生でも、
毎日いろんな発見があるとおっしゃられます。
園芸って刺激的でステキな世界だなぁ、
と改めて感じました。


『果樹盆栽づくり ~グミの植付~』に適した刃物scissors
今回の作業では根の切り戻しをしました。
根切りをするときには、
土や石を噛んでしまうのですぐに刃が傷みます。
新しいはさみやのこぎりを使うのはもったいないので、
使い古したはさみやのこぎりを使ていただく方が良いと思いますscissors


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