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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

台風対策


今年の夏は非常に厳しく、カキの果実が日焼けを起こしています。
果実だけでなく株自体もかなりの負担があったことでしょう。
夏の高温乾燥が引き金となり、樹木の花芽分化が行われるのですが
今年に関しては株の衰弱、それに異常な酷暑で、生理的な異常が生じないか心配です。また、9月は台風襲来の時季でもあります。


強風で枝葉の損傷が生じますが、被害が大きくなると、
夏に分化した花芽がその刺激で動いてしまい、
来春に咲く花が秋のうちに開花してしまうことになります。
よく『秋にサクラが咲いた』ということが話題になりますが、
台風や病害虫などによって葉が失われたショックで、
来春まで休眠状態であるはずの蕾が
開いてしまったということがあるようです。

さあやってみましょう!

庭木の場合は徒長枝を切り戻して樹形を整え、
混み合った枝は間引いて風通しを良くしておきましょう。
鉢植えなどは、倒れたり棚から落ちて鉢を割ったりするので、
棚から下ろしてやります。
実のついているゆずは倒れないように支柱で支え、
寒冷紗でくるみました。
▼ゆずの鉢植え

どの枝先にも実がついています。

▼枝を束ねる1

▼枝を束ねる2

▼支柱を立てる

▼寒冷紗でくるむ

支柱を立てずに、鉢ごと横に倒しておくのも良いことですが、
このときは泥水に汚されないように注意が必要です。
泥水には雑菌(病原菌)や線虫などの
害虫が潜んでいるかもしれませんから。
写真のようにビニール袋で包んでから、
倒しておくと安心です。

▼ビニールで包む

▼通路に倒しておく

泥水で汚れていない場合でも、台風が去ったら
ダイセンやベンレートなどの殺菌剤を散布しておきましょう。
見た目にはきれいな状態でも、
強風で葉がこすれあって傷つき、
そこから病原菌が侵入する危険があります。
特に葉裏は葉の表と違って、
強い日差しや風雨への保護組織が十分でなく、
気孔が口を開けた状態になるので、
病害虫の侵入を受けやすい状態にあります。
そこで薬剤散布の際には、
葉裏にしっかり薬液がかかるように注意します。
薬液を下から上に向けて散布すれば、
落ちてきた薬液は葉の表にかかってくれます。


▼薬剤散布中・・・

下から上へ、葉の裏側から散布しています。
台風や病害虫による不自然な損傷がなくても、
夏の間伸長を止めていた新梢が、
快適な季節を迎えて伸びだすこと(秋枝)があります。
これから伸びだす枝葉の充実が悪く、
花芽も期待できないものですし、冬に凍傷をおこしやすいものです。
何よりも貯蔵養分の浪費になります。
伸びだしてきたら初期に摘み取っておくとよいでしょう。
庭植えの場合には生育のコントロールは難しいですが、
あまりにも徒長がひどい場合には、
根を一部切断してやることで、徒長を防ぐことができます。
来春から開花する花木・果樹の多くは夏が花芽分化の時季で、
今月は完成時季と考えて、
木に強い刺激を与えないように注意しましょう。


『 台風対策 』に適した刃物

誘引の紐やビニールはもちろんのこと、
ちょっとした小枝も切れる「クラフトチョキ」。
刃先の切れ味が抜群です、万能にお使いいただけます。
グリップカラーは全部で6種類。
お好きな色をお選びください。


今週は台風20号が日本列島の横を通り過ぎていますね。
大阪でも昨夜は風が強く、今朝はひんやりと寒いぐらいでした。
朝晩の気温差が大きいので体調管理には気を付けてくださいね。
編集:社員A子


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