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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

夏枯れ対策
   

夏枯れ対策


春に植付けたブルーベリーの葉が、8月に入ってから萎れ始め、現在は写真のような状態です。
萎れたブルーベリー
この夏の高温乾燥による子葉からの蒸散作用を、根からの吸水が補えなかったことによる「脱水」症状だと思われますが、よく観察すると一部に緑葉が残っていますので、株が枯死したのではないことが判ります。
ところが同じように植えた、すぐ横の株は元気です。
元気なブルーベリー
大きな原因を考えてみますと、(1)根の状態、(2)その後の管理、の2点が挙げられそうです。


(1)根の状態
萎れ始めた株は、鉢で5年間栽培されていたものを、鉢から出して、そのまま植付けたものです。元気な方も同様に鉢栽培の株ですが、やや小振りでした。
いずれも根は健全な生育を示していましたので、特に処置はせずに、そのまま植付けました。
この時、根の一部を切断しておくか、鉢土を少しほぐしておけば良かったのかも知れません。と言うのは、根は伸び出した時の用土(鉢土)に適応して生長している筈です。
ところが突然、全く異質な用土(地面)に植付けられたのですから、当然、根は鉢土の中に閉じこもることになり、地面に根を伸ばすのが遅れることが考えられます。
もちろん時間を掛ければ、根も地面に伸び出していったことでしょう。
多くの場合これでよいのですが、今回は、鉢での栽培時間が長く、それに伴って「根詰まり」にもなっていたのかも知れません。
根詰まりの株の植付けに際しては、根を一部切断して、そのショックで新根が新しい用土に伸び出すことを促す方法があります。
(2)その後の管理
傷んだ株は2ヶ月位後に、強風で株が斜めに倒されましたので、直ぐに起こして株元を踏み固めておきました。
しかしこの時に、正常な状態に植え直し、たっぷりと潅水し、さらに支柱を添えて根が動かないようにしてやれば、良かったのではないでしょうか。
新しい根は敏感ですから、強い刺激を受けると、伸びが停止してしまいます。
植付け・植替え時に株を固定してやることの重要性はここにあります。更に言えば、夏に敷きワラをして、地温・乾燥を抑えること、それに地面への潅水ではなく、写真のような地中への潅水をしてやれば良かったと反省しています。
地中潅水 地中潅水
<地中潅水>
半分に切ったペットボトルを逆向きに埋め、ボトル内にひゅうが土を詰める
地中潅水 地中潅水
<地中潅水>たっぷり潅水し、乾燥防止にレンガを乗せる
春に庭へ植付けた樹木の管理では、梅雨から夏の管理が重要です。
梅雨には地下水が上昇するので、根は地中深く入れません。当然、根は地表近くに集まってしまうのですが、梅雨が明けると高温乾燥・地下水の水位の低下、というダブルパンチに見舞われ、脱水状態に陥ってしまうのです。

尚、元気な株は地上部が小さかったことから、倒れることもなく夏を越しました。
さてこの対策ですが、葉だけでなく枝も衰弱しており、そのままにしておくと、来春に貧弱な枝しか伸び出さないので、思いきって切り戻しておきます。
切り戻し作業 葉面施肥→薄い液体肥料
気持ちとしては、何か肥料などを与えたいところですが、固形肥料を施すのは禁物で、潅水を兼ねて、薄い液体肥料を与える程度にしておきましょう。
緑葉は肥料を吸収する能力がありますので、衰弱した株にとっては枝葉から吸収させるのも一法です。
枯死した葉は見苦しいのですが、自然に落ちるまで、そのままにしておきましょう。無理に除去しようとすると、傷付けることがあります。


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