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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢物の夏の剪定整姿


落葉樹の場合、樹形の本格的な剪定剪姿は
落葉している冬季ですが、
新梢が繁茂・徒長する初夏にも、
樹形の維持と必要な分枝をはかる・・・など剪定整姿の作業はあります。

今回はこの時期での剪定整姿で留意すべき点について、
実際の作業を通して紹介していきます!


さあやってみましょう!

徒長枝の処理

徒長枝自体が樹形を乱しているのですから、
切断の対象となります

しかし仕立て方や樹種によって、その処理は異なります。

樹冠を整える

写真はトウカエデの鉢植えです。
この鉢に植えてから約15年が経ちました。

街路樹にもされるほど勢いの強い木で、
はじめのうちは、よく徒長枝が伸びだしていましたが、
年ごとに落ち着いてきました。

それでも上方の左側に徒長枝(飛び出し枝)が
一本出ています

ここでは、樹形をひとつの「かたまり」として捉え、
かたまりから飛び出しているのが「飛び出し枝」=徒長枝となります。

これをそのままにしておくと不格好なだけでなく、
下方の枝の衰弱を引き起こしますので、
下の写真の位置で剪定してやります
※切断位置から新しい枝が出てくることを意識して作業を行います。
節の上で切るようにしましょう!

枝が飛び出していると不格好なので切り戻しをします

これで樹形がまとまりました。

幹と枝を整える

写真もトウカエデです。
右側にしっかりした「一の枝」のある模様木仕立てです。

これにも気になる徒長枝があります

まず幹の方ですが、上部の左側に直立している新梢です。

この徒長枝をそのままににしておくと、
すぐ下の右方に出ている小枝が弱ってしまう危険があり大変です

そこで下の写真のように剪定しました。


次は「一の枝」です。

これにも直立した徒長枝がいくつか伸び出しています。

枝は横に広がって欲しいのですが、
こうした徒長枝をそのままにしておくと、
肝心の横に伸びている枝の衰弱を引き起こすので、
切り戻してやります

この木の場合、樹形を考えますと「一の枝」がかなり大きく感じられます。
しかし、しばらくはこのままにしておきます

というのは樹液の流れは幹が中心となり、幹の先端部の枝が元気に育つものです。

ですから、余程注意して下方の枝が元気に育つようにしないと
年ごとに衰弱の方向に向かってしまうからです

樹形は幹・主枝・小枝からできている立体です。

その作業の第一歩が「一の枝」作りです。
幹だけの状態:一次元
一の枝の誕生:二次元
小枝の発生 :三次元と見ることができるのではないでしょうか
木と木のバランス

写真はトウカエデの寄せ植えです。

この植栽で問題となるのは、左方から二番目の主役となっている木が
異常に太くなっていることでしょう。

このままにしておくと、他をますます圧倒して太ってしまいそうなので
少し枝葉を摘み取ることにします。

そして全体的に丸みのある形を円錐形に変えるようなイメージで切り戻していきます

主役は大きいもの、高かったり太かったりと
「目立つ」要素を持っていますが、
それがあまりにも強烈すぎると調和が乱れてしまいます。

寄せ植えは植栽された木の全体が作りだす景色ですから、個人プレーは禁物です

枝葉の繁茂は、根の旺盛な身長に繋がりますが
しれは周囲(脇役の木)の衰弱に直結することを
覚えておきましょう。

樹種の特性

写真はチョウジュバイです。

この木は株立ちとなる性質なので、
株元からの新梢を基部から切除し、古い枝を保護してやることが必要です。

ツツジやバラなど株立ちとなる樹種では
古くなった枝ほど衰弱しやすくなります。

樹液は新梢に必ず流れるようになっているようですから

高木となるものは、幹の先端部に
優先的に樹液が送り込まれるようです。

これにて本日の作業は終了です!
おつかれさまでした★


『 鉢物の夏の剪定整姿 』に適した刃物
鉢物の剪定作業では、クラフトチョキを使いました◎
細かな作業となるため、小回りのきく刃先がぴったりです
ソフトグリップで長時間の使用でも手が疲れにくい仕様です!


★★★今日のひとこと★★★
西先生宅の10年を越える鉢たち・・・
とってもかわいいですよね!

写真を撮影しながら、かわいい~!すてき~!を
連発してしまいました

我が家の玄関にもミニ鉢を置きたいなあ・・・
なんて、またむくむくと植物欲が湧いてきた取材日でした


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