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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

果樹苗木の取り扱い
   

果樹苗木の取り扱い


「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、今年は暖冬の影響か、ウメ・モモの蕾のほころびも早いようです。
苗木の植付けや移植は、根の活動する前に行うのが理想的です。

蕾がほころび始めているということは、樹液が流れはじめているということの現われですから、今年は作業を早めに行いましょう。


遅れると、根を傷めることにもつながります。
養分は枝先と根の先に集まっているのですが、それを切り落とすことは樹体にとって大変な損失になりますし、樹液が流れることで、傷口の治癒の遅れにもつながります。
根の活動は種類によって異なりますので、特に根の活動時期が早いウメ・モモなどの落葉樹から始めます。
予定した場所が準備できていない場合には、鉢植えをしておき、場所が決まったらその都度、定植すればよろしい。

最近市販されている苗木は、大抵、ポット植えになっていますので、植付け時に根を損傷する事は少ないのですが、大抵、根詰まりになっており、そのままでは株が衰弱しますので、是非、定植するか一回り大きな鉢に移してやりましょう。

また、果樹は1株だけでは結実しにくい性質を持っているものが多いので、受粉樹を植えたいのですが、場所がない場合には、鉢植えした株でも良いわけです。
鉢植えは、潅水などの手入れが必要ですが、露地植えしたものに比べて、果実は糖度が高まるなど、美味しくなる傾向があります。

市販の苗木は、大抵、接木をしてあり、腐らないテープなどで接木部分を縛ってありますから、これを外しておくことと、苗木についているラベルを外して、新しく確りとしたラベルを作って株元に挿しておきましょう。
苗木のラベルをそのままにしておくと、ラベルの針金などが幹に食い込んでしまいますし、色あせてしまうと、品種が分からなくなってしまいます。

品種名が確認できるということは、栽培上でとても大切なことです。風雨にさらされると、記載事項が消えることがあるので、複数用意して、土中に埋めておくのも一法でしょう。

さて苗木の扱いですが、落葉しているものは乾燥に強いのですが、根をできるだけ乾燥させないように注意すること。
鉢植えの場合には、根をほぐし、徒長しているものは切り戻してから植付けましょう。

根の広がりは枝の茂りに関係するので、特定の根を徒長させると、特定の枝の徒長につながりかねないので、樹形を大事にしたい鉢植えでは、特に注意したい点です。
出来れば植付け前に30分位、水に漬けて充分に吸水させてやりたいですし、理想的には発根促進剤を用いたいところです。
写真のウメのように、蕾のついているものは、そのまま開花させたいところですが、開花させると株が衰弱し、生長が遅れますので今年は断念し、主枝を伸ばしたい位置で剪定をしておきます。

常緑樹は気温が上がって葉に緑が戻ってから植付けるのが良く、ポット植えのものは、一回り大きな鉢にポットのまま植えて、根の保温をしてやりましょう。


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