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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

モモの樹形小型化
   

モモの樹形小型化



市販のモモの苗木を容器で3年余り栽培していましたら、
上のほうの枝がどんどん元気になって、
樹形が乱れ下枝が枯れ上がってきました。
このような樹形になるのは、
一口にいえば樹液が上部の枝に多く流れ込み、
下枝が栄養不良の状態におかれたからです。
枝と根の生長には密接な関係があり、
枝の間にムラが無く揃った枝を茂らせるには、
細い根をたくさん茂らせることが肝心です。


この株の場合、植え替えを怠ったことにより
細い根が減り特定の太い根が容器内を占領してしまったようです。
容器栽培では栽培場所の有効利用や、
手入れの都合からコンパクトな樹形が望ましいので、
仕立て直しをすることにしました。
仕立て直しのポイントは
【枝(主枝)の切り戻し】と【細根の育成】です。
このことを頭に入れながら…


さあやってみましょう!

樹形を整える

まず、枯れ枝を切り落とします。
枯れ枝が残っていると、全体のバランスを確認するときに生きている枝と勘違いしてしまい、必要な枝まで落としてしまう恐れがあります。

次に、全体のバランスを確認しながら
伸びすぎた主枝や徒長枝を切り落としていきます。

一度見てみると、こんなかんじ。
まだバランスが悪いため、もう少し樹形を整えることにしました。

剪定鋏で切れない太い枝は鋸で切り落とし…

切断面のでこぼこは又枝切り鋏で丁寧に整えてゆきます。

これですっきり、樹形がコンパクトにまとまりましたね!

根の状態確認

モモの苗木を容器から出して、根の状態を確認します。
このときに、容器に接している根は改めて植えつけるときに不要なので
上の写真のように切除しておくと作業が楽になります。

また、表面の土は放射線状にかいて落とします。
これは除草になります。

根鉢の外回りと下部の根の切除

特に太い根は短く切り戻すことが大切です。
根を乾燥させないように手際よく整理しましょう。
今回は、地上部を思い切って縮小しましたので、
根も少なく(短く)なり、元の容器より一回り小さな容器に植え付けることができます。
せっかく伸びだした根を切除するのは惜しいような気がしますが、
植え替えの際に根を切り戻しておかないと、
容器がどんどん大きくなり扱いが大変です。
それに根の切り戻しによって株の若返りが期待できます。
盆栽など小さな鉢で何百年も元気で育っているのも、
この辺に由来するのかもしれません。

植え付け

根が整理できましたら、一回り小さな容器に植えなおしてやります。
用土は赤玉土の中粒にピートモスを2割くらい混ぜたものを用いましょう。

すき間は、棒でつついて用土を入れ込み、全ての根に用土が密着するようにします。有機物を混ぜますと、必ずと言ってよいほどコガネムシの幼虫が入り込み根を食害するので、オルトラン(殺虫剤)も加えておくと安心です。


植え付けの最後には、粗いピートモスで敷き藁をします。
雑草の発生防止・乾燥防止・保湿の効果があります。

トップジンMの塗布

剪定後の切り口にトップジンMを塗布します。
殺菌保護皮膜がすみやかにでき、木質部の亀裂や 雑菌の進入を防いでくれるとともにゆ合組織の形成を促進し、病害の感染から守ってくれます。

新枝成長のために傷をつける



最後に、新しく伸ばしたい枝の上にナイフで傷をつけておきます。
こうすることで、新枝の成長を促せるのだそう。

これにて本日の作業は完了です!
すっきりとかわいらしいモモの苗木となりました。
寒い冬をがんばって越してくれますように


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編集後記
師走に入り、今年も残りわずかとなりました。
街のイルミネーションが綺麗で、冬のまっただ中にきたことを実感します。
今年はどんな1年でしたか…?
そろそろ、こんなふうに1年間を振り返るのかと思うと
時間の流れのはやさに、びっくりしてしまいます。
私といえば昨年の今頃、卒業論文に追われていたのに…早いですね。
2013年に新入社員1号が書く記事はこれが最後となります。
ちょっぴり早いですが、みなさま良いお年をお迎えください。
残りの2013年が素敵な出来事で埋め尽くされることを、
そして3週間後にやってくる2014年が、
温かさに満ちた幸せな年になることを願っています
新入社員1号より


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