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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

スモモの仕立て直し
   

スモモの仕立て直し


スモモの仕立て直し
旅行中に、かねてから探していた「ソルダム」というスモモの品種を偶然見つけ、早速入手し鉢植えしたのですが、時期が初夏で、枝葉も茂っていたので、剪定をせずにそのまま植え付けました。
本来なら秋から早春に入手し、幹は30cmくらいに短く切り戻し、3本くらいの主枝を出させる・・・というのが理想なのですが、入手した時期が樹液の流れの旺盛な状態だったため、大胆な切り戻しを控えたのです。


スモモの仕立て直し
しかし、現在の様子を見てみますと鉢植えではやはり腰が高く、倒伏しやすい状態になっています。おまけに、品種名ラベルの針金を取り外すのを忘れてしまい、幹に食い込み(傷)ができてしまっています。
こうなると『もはや傷ができた部分まで切り戻さねば・・・』とは思うものの、もう一つの思いが頭をかすめます。と言うのも、切り取りたい枝に花芽がたくさんついているのです。『これは、ぜひとも果実をつけてみたい!』
そこで、樹形の仕立て直しはもう1年我慢することにしました。とは言え、このままの状態にしておくと上部の枝がさらに元気になるのに反して、肝心の下部の枝(将来、主枝となる枝・芽)は弱ってしまいます。さて、どうしたものか?
まとめますと、今回の作業目的は以下の3点です。
? 下部の枝を育てたい
? 上部の枝で収穫をしたい
? 傷ができた箇所より上の部分は、取木することで生かしたい

少々欲張りですが、やってみましょう。

<さあ、やってみよー!>

まずは、「?傷ができた箇所より上の部分は、取木することで生かしたい」対策
スモモの仕立て直し
傷のついた箇所より少し上に針金を巻きます。
こうすることで、樹液の流れが妨げられ、処理された箇所より上の部分が、発根しようとする活動を始めることが考えられます。これで、初夏には取木をすることができるでしょう。
続いて、「?下部の枝を育てたい」「?上部の枝で収穫をしたい」対策
スモモの仕立て直し
これはすなわち、下部の枝は果実をならせないようにして充実させ、上部の枝にはたくさん結実させるということです。
まずは育てたい下部の枝を、強く切り戻します。伸ばしたい枝は、大胆に切り戻すことによって、勢いよく伸び出す(徒長する)ためです。
スモモの仕立て直し
続いて上部の枝ですが、徒長している枝をそのままにして、思いっ切り下へ曲げる(垂らす)ことにしました。養分は上に向かっている枝に流れ込む性質がありますので、こうすることによって枝葉の茂りが弱まることが予想されます。
枝にとってはいじめられて辛いところでしょうが、こうして枝の勢いを弱めることで枝を伸ばすためではなく、実を成らせるための養分を貯めてくれることでしょう。
もちろん、下部の枝にも花芽は付いていますが、はっきりしているものはすぐに摘蕾(てきらい)しておきます。もしも、葉芽か花芽か見分けがつかない場合には、開花まで待ちましょう。
なお、剪定によっては木の地上部と地下部のバランスが乱れるので、植え替えの際に太い根などを取り除き均衡を保つことも大切な作業です。特に植え付けてから3年以上たっているような株の場合には、根詰まりの解消のためにも、特に太い根を間引いておくことが重要です。
今回の作業は以上で終了です。半年後の収穫が楽しみです。


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