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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢植えミカンの収穫と増し土
   

鉢植えミカンの収穫と増し土



八朔や甘夏など、冬から春にかけて成熟する柑橘(晩柑)類を、
関西で育てる場合に悩むのは、収穫時期でしょう。
特に、今年は冬の寒さが厳しいということですから、
果実の凍傷が心配です。



品種によっては早採りになり、本来の味を楽しめないこともありますが、
百点満点を望むより安全を優先したいところ。

写真は、鉢植えのユズを台木として甘夏を接木し、2年遅れて八朔を接いだ株です。当然のことですが、先に接木された甘夏が旺盛な生育をし、八朔の生育はあまりよくありませんでした。

そこで甘夏を先端部の枝に結実させてみました。 そうすると、結実した枝は果実の重みで枝垂れ、 小枝の発生もほとんどなく葉色もすぐれません。


そうしたことから、今年は年末に収穫を済ませ、ピートモスで防寒をしてやることにします。
   

そこで甘夏を先端部の枝に結実させてみました。
そうすると、結実した枝は果実の重みで枝垂れ、
小枝の発生もほとんどなく葉色もすぐれません。

一方、後塵を拝していた八朔は写真のように、
葉色も濃い非常に充実した枝を茂らせています。
きっと来年には結実してくれるでしょう。

一番下のほうから伸びているのはユズですが、
これはしばらくの間は予備軍としておきます。

さて、この甘夏の収穫ですが、写真のように
かなり枝をつけて切り取ります。

今年結実した枝は衰弱しているので、来年の
結実は期待できません。
それに結実している枝はどれも長く伸びており、引いてもよい状態にあります。

最終的にこんなに収穫できました。



ちなみにむかって右側が八朔、左側が甘夏です。
八朔は葉色が濃く、甘夏は葉色が優れず生育の差がよくみてとれます。

さて、収穫と剪定を兼ねて行いましたが
剪定をした時は根の切り戻しの機会でもあります。
この株の場合には、写真のように容器の中に
ビニール袋を埋めて、用土量を少なくしています。

これは株に対して鉢が大きすぎたことと、
袋を抜き取ってその後に新しい用土を補い(増し土)、
根詰まりを防いでやろうという意図がありました。
この処理をしてから3年になり、きっと根詰まりをしているで
あろうということで、新しい用土を補ってやることにします。

袋を抜き取ってみると、びっしりと根が張っていました。

空いたスペースに、新しい用土を入れてやります。


用土は現在鉢の中にあるものと同じものを用います。
異質な用土を入れますと、根は現在の用土に適応して
生育しているので、新しい用土になかなか馴染まず、
当然のことですが生育不良につながります。
増し土の作業では、根を損傷しないように注意が必要です。
13度以下の地温では、根の活動が低下してしまいます。
落葉樹と異なり常緑の植物ですし、柑橘類は寒さに弱いものですから。
それでも根を痛めることになるでしょうが、
地上部がかなり小さくなって、根の負担が軽くなっているので
大きなダメージはないでしょう。
それに作業に適した春になって行おうと油断していると、
新根が発生している時季になっていた、
ということがよくあるものです。

増し土をしたあとは、表土にピートモスを敷き詰めます。
保温・除草の効果が望めます。
鉢植えは、外気にあたりにくい玄関など、
軒下の日当たりの良い場所に置いてあげるといいでしょう。

これにて作業は終了です。
お疲れ様でした!


鉢植えミカンの収穫と増し土』に適した刃物


今回の作業では、弊社の新製品「VSシリーズ」の剪定鋏を使用しました。
進化を続ける赤い柄の剪定鋏「VSシリーズ」。
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編集後記

先生のご自宅の八朔を収穫してきました!
高枝鋏をつかってひとつひとつ採っていきます。

そのほかデコポンもたくさんとれましたよ。
収穫できた果実は会社に持って帰り、社員のみなさんにお配りしました!
冬といえばコタツにみかんですね
さて、これが今年最後のレポート更新になります。
今春からこのブログに携わり、
いろいろな園芸作業を体験させていただきました。
果樹栽培は1年を通して楽しめるね、と
取材に伺うたびに先生はおっしゃいます。
まさに春から冬まで、たのしい取材ばかりでした。
これからもたくさんの情報をお届けできたらと思います!
それではみなさん、よいお年を
新入社員2号でした


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