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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢利用の果樹栽培
   

鉢利用の果樹栽培


「四季を通じて、自宅の果樹から果物の収穫を楽しみたい」という夢から、鉢の利用を思いつきました。
果樹は大きくなるものが多く、限られた庭での栽培は限界があります。それを承知で、欲しい果樹の苗木を入手し、栽培場所が決まる迄、鉢植えにしておきました。

というのも、季節になると苗木は店頭に並んでいますが、市場には人気のある品種が出回ることが多いので、欲しい品種が何時も店頭にあるとは限りません。
それに鉢栽培では収穫は少ないのですが、一時に多数の収穫を必要としない家庭での栽培では、多品種・少収穫の鉢栽培は好都合です。

鉢利用の果樹栽培

そうしたことで春から鉢植えしておいたのですが、秋を迎えて鉢の状態を観察すると、写真のように鉢穴から根が地面へ伸び出していました。鉢の中で根詰まりを起こした結果なのでしょう。この現象を利用することも鉢栽培の一つの方法かも知れません。
というのは、こうした鉢穴から根が出ている状態ですと、潅水が不十分でも枯死する危険を防げます。それに、通常の鉢植えの状態よりも、生育は遥かに良好なことは間違いありません。

もしも、ベランダなどでの栽培では、鉢の下に砂やパーライトなどを敷いておけば、これと同じ状態が生ずることでしょう。観葉植物のように、置き場所を移動することのある場合とは異なり、果樹栽培では移動の必要はないのですから、根が伸び出しての不都合はありません。

鉢利用の果樹栽培

こちらは、モモの「黄金桃」という品種ですが、枝の状態を見ますと、花芽が沢山着いています。
一般的に言えることですが、花芽は葉芽に比べて大きく、一つの場所に複数の芽が出来ているので簡単に見分けることが出来ます。もしもこれを庭に植えていたら、元気な枝が伸び出したことでしょうが、こんなに花芽は着かなかったことでしょう。

モモにしてみれば、花芽を着けることよりも葉芽を作って早く大きくなり、他の植物を圧倒して自分の縄張りを広げようとした筈です。
ところが写真のモモは、鉢に植えられたために一種の栄養失調状態となり、存分な栄養生長が出来ず、種族保存の本能から花芽を作ったのではないでしょうか。
このことはモモにとっては不満足な結果でしょうが、こちらにとっては、株が徒長せず、花芽が着いてくれたのですから一挙両得です。

鉢利用の果樹栽培 鉢利用の果樹栽培

さて、この株の手入れですが、先ずは根の処理です。モモにとっては大切な根ですが、鉢穴から伸び出している部分は切除しておきます。
根が少なくなったのですから、枝も間引いてやらなければバランスが保てません。

剪定する位置は、伸ばしたい位置にある葉芽の直ぐ上にしましょう。
幸い、細い枝なので、切ったままにしておいてもよいのですが、もしも太い枝の場合には、トップジンなど保護剤を塗って、切り口を保護しておきましょう。

鉢利用の果樹栽培

剪定となると、盃状形とか主幹形など樹形のことが気になりますが、商品作りではなく楽しみなので、他人目は気にせず、好きな樹形にするつもりです。この状態では、どうやらスタンダード仕立てになりそうです。


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